『COD MW』と「いじめ」と「戦争」
皆さん『COD MW』やってますか?
オンでは勝てませんが、オフなら無双できるという、FPSゲー特有の現象は、もう既に過去のモノ・・・・。
まず、勝てません。
誰だよ、オフ(ストーリーモード)がオナニーだって言ったヤツ・・・。
めっさAI強いやん。。。
ベテランモードで10回以上死にましたよ?
海外から来た留学生にやらせたら、最初の襲撃ミッションで最弱難易度なのにクリアに1時間以上かかってましたよ?
実は未だに途中で投げ出してるよ?
ねぇ、なんでヘリの座席は銃弾を止められるの?
ねぇ、どうしたの?Activision。返事してよ?
・・・まぁ、今回はストーリー「モード」そのものの話じゃなくて、その内容なんですけどね。。。
まとめ
・戦争描写はいじめ描写と似てる気がする。
・いじめてる奴にはいじめの自覚がない。
・人はいじめられると狂暴化し、いじめ加害者になることがある。
1.いじめられたらやり返す
私の圧倒的に数少ない経験から言っても、いじめられてた奴は、「滅茶苦茶に態度が悪い」です。
これは本当にそうで、ぶっちゃけ、いじめられた経験のある奴は、そのままいじめ加害者になってもおかしくないレベルでキレやすくなってます。
もちろん、全員じゃありません。そうでない人も居ます。たくさん居ます。優しくてしょうがない人も居ます。優しすぎるんです。
でも、、、
女性で、たぶんいじめらてたんだろうな・・・という人物で、キレやすくはありませんが、「自分で何一つ決断が下せなくなってる」人も居ました。(それもそれで大変そうでした・・・)
とにかく、話をしたいのは、「いじめ被害者はいじめられたことを決して忘れない。たとえ当事者が全員死んでいたとしても・・・・」という話なんです。
で、CODなんですけど。。。
2.「いじめ」と「戦争」
登場人物の一人に「ハディル・カリム」というのが居ます。ウルジクスタン解放軍の副司令官で、本作のヒロイン「ファラ」のお兄ちゃんです。
このハディルなんですが・・・なんというか・・・「いじめ被害者とロジックが同じ」なんです。
ロシア軍に自分の両親を殺され、おまけに占領中に毒ガスで同胞を殺され、挙句の果てに自分は収容所内でたぶんイロイロされてる・・・。
「被害者」ですね。分かりやすく。
そして彼はやり返します。そう、あのミッション。
『死のハイウェイ』です。。。
3.やられたらやり返す。倍返しだ。
このミッションでハディルは自分と祖国を苦しめたロシア製の毒ガス兵器を、あえて同胞を巻き込む危険を冒しつつも使用します。
結果として、敵軍(ロシア軍)の掃討に成功するのですが、やり方がヤヴァイ。
なにより、自分がされて一番嫌だったこと、トラウマになってることをそのまま相手にやり返してるんです。これは何がヤヴァイのかというと「忘れらなくなるよ?」ってことです。
復讐ってすればするほど、復讐の原因を忘れらなくするんです。
例えば、いじめ被害者の描写で気になるモノがあります。
あの国民的青春アニメ『時をかける少女』のワンシーンです。
4.「そんなことするからいじめられるんだよ・・・」
上記のセリフは、主人公「紺野 真琴」(こんの まこと)が、クラス内でいじめられてる少年に投げかける言葉です。彼は自分がいじめられた腹いせに、いじめ加害者に対して報復を行っており、それに呆れた真琴ちゃんは彼にこの言葉を投げかけます。
彼女はまだ高校生ですが、一番「ヤヴァイ」ことに気付いています。実は、いじめはいじめそのものが「ヤヴァイ」のではなく「いつまでも覚えている」ことがヤヴァイのです。。。
「いじめられた」経験が、その後の「行動」に影響を与えるレベルで「記憶」されていること、そして「忘れられない」ことこそが、いじめ被害の本質です。
5.「いじめ」と「戦争」
『COD』では、初代から「ヤヴァイ」シーンがぞくぞく出てきます。特に『モダンウォーフェアシリーズ』では、作中に虐殺・一方的な殺戮のシーンが続出します。
ヤヴァ過ぎてコンテンツを非表示にする機能がついてます。撃たれた敵兵が全員タイヤになるのは意味無いと思いますが、それでも、冗談で済ませようとする辺り、まだ良心があります。
が、現実の戦争はもっと過酷です。
『COD MW』に出てきた虐殺シーンは、実際の戦争を何倍もの薄さに薄めた描写なのでしょう。平和な日本に生きていたら、きっと思いつきもしないことが起きているのでしょう。
そして、いじめ被害者がいじめを忘れないのと同じように、一方的に虐殺された人も絶対にその記憶を忘れようとはしません。
ハディルは、実はいじめ被害者の要素を持っています。それは、火責めでも、クレイモアでも、爆薬でも、銃弾でもなく、「毒ガス」という手段によって相手を殺さなければ「気が済まない」のと同じです。
『時かけ』の真琴ちゃんはイイ子ですが、実際のいじめ被害者に先ほどのような事を言えば、キレられるか、その人の脳内で殺されます。
それは虐殺を生き残った人に「それはあなた方の責任だ」と言うのと同じです。
そして、そう「言われた」事実も、彼らは決して忘れないでしょう。
6.「いじめ」と「戦争」と『COD』
ハディルはいじめ被害者であると同時に、最後の最後には自分がいじめ加害者に回ってしまいます。そういう意味では、『COD MW』は「いじめ被害者がいじめ加害者に回ったら、どんなことが起こるのか?」を突き詰めた作品といえます。
他の記事でも書きましたが、追い詰められた状況から抜け出すには、その状況を設定したゲームのルールや価値基準そのものを改変する必要があります。
例えば、自分が非モテだと思うなら、その基準を変える方が早いです。キモくてもブサイクでも、その価値観を押し付けてくる集団から抜け出し、自分を評価してくれる集団を捜しつつ、自己改革(コミュ障克服、ダイエット、筋トレetc)に勤しむ方が圧倒的に楽なのです。
でも、忘れられないと、いつまでもその時の状況に囚われ続けます。
ハディルが「ヤヴァイ」のは、まるで「忘れたくない」かのように自分の記憶(トラウマ)を再現して見せることなのです。
7.敵は記憶の中にいる。
一時期、脳科学の番組が流行りました。茂木健一郎とか、養老孟司がテレビに出てましたよね。彼らが言っていることすべてを信じる必要はありませんが、その一部は信じて良さそうです。
脳はそれ自体に「快・不快」を見分ける機能がなく、唯「刺激の強い記憶」を再現し続ける「ダメな記憶保存装置に過ぎない」という視点です。
ハディルが虐殺を忘れられないのは、忘れたくないからです。忘れたら、自分の生きる目的(復讐)が消失します。
いじめ被害者が、いじめを忘れないのは、忘れたくないからです。なぜ被害者である自分が「忘れてあげなくては」いけないのでしょう?
戦争が終わらないのは、戦争をやめたくないからです。誰が正しいのか、だれが強いのか分からなくなるじゃないですか・・・。
こういった視点がない限り、いじめも戦争もなくならないでしょう。いじめ被害者がキレやすいのは、人格的に劣っているからではなく、「今もいじめられて」るからです。だって「脳は覚えて(思い出して、再現して)いる」んですから。。。。
8.とりあえず、『COD MW』はやれ。
プレイ動画だけでも視聴することをお勧めします。2000年代以降の対テロ戦争は、そのまま、いじめ加害者vs被害者の構図に似ている部分が多すぎます。
今作では戦場における絶対的な弱者である「民間人」への「誤射」が「あえて多発する」ように作られています。
誰が「加害者」で、誰が「被害者」なのか分からなくなるように作られているんです。
これは製作者サイドの考え方なのでしょう。実際の現実がそうであるように、彼らの掲げる標語には一定の説得力があります。
「戦場に英雄などいない。ただ、一兵士がいるのみである。」
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